新型コロナウイルス感染症、“疑い例”の定義について [薬学博士からのアドバイス] | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2020.02.13

新型コロナウイルス感染症、“疑い例”の定義について [薬学博士からのアドバイス]



科学的栄養学No.92

新型コロナウイルス感染症、“疑い例”の定義について

 

このほど世界保健機関(WHO)は新型コロナウィルスが引き起こす疾病を「COVID-19(コビット19)」となずけると発表。この名称はCoronavirusからCOとVIを、Disease(疾病)からDをとり感染が確認された2019から19をつけたとのこと。

 

また、新型コロナウィルスがコウモリから別の動物を介してヒトに感染した可能性が高いとの見方をしめしました。

 

さて、刻々と状況が変化する中、新型コロナウイルス感染症の「臨床的特徴」や「感染が疑われる患者の要件」について、適時アップデートが行われている。
 

2月5日の日本医師会の定例会見では、厚生労働省発出の文書に基づく現時点での定義や今後の医療機関での対応の見通しについて、釜萢 敏常任理事が説明。

 

初めて“濃厚接触”を具体的に定義

 厚生労働省では、2月4日付の感染症法に基づく届出基準の一部改正についての都道府県宛通知1)において同感染症の「臨床的特徴」および「感染が疑われる患者の要件」を下記のように定義している。

<臨床的特徴(2020年2月2日時点)>
 臨床的な特徴としては、潜伏期間は2~10日であり、その後発熱、咳、全身倦怠感等の感冒様症状が出現する。一部のものは主に5~14日間で呼吸困難等の症状を呈し、胸部 X 線写真、胸部 CT などで肺炎像が明らかとなる。
高齢者及び基礎疾患を持つものにおいては重症化するリスクが一定程度あると考えられている。

 

<感染が疑われる患者の要件>
 患者が次のア、イ、ウ又はエに該当し、かつ、他の感染症又は他の病因によることが明らかでなく新型コロナウイルス感染症を疑う場合、これを鑑別診断に入れる。ただし、必ずしも次の要件に限定されるものではない。

ア)発熱または呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する者であって新型コロナウイルス感染症であることが確定したものと濃厚接触歴があるもの。

イ)37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域に渡航又は居住していたもの。

ウ)
37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域に渡航又は居住していたものと濃厚接触歴があるもの。

エ)発熱、呼吸器症状その他感染症を疑わせるような症状のうち医師が一般に認められている医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要でありかつ、直ちに特定の感染症と診断することができないと判断し(法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症に相当)、新型コロナウイルス感染症の鑑別を要したもの。

 

※濃厚接触とは、次の範囲に該当するものである。
・ 新型コロナウイルス感染症が疑われるものと同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があったもの
・ 適切な感染防護無しに新型コロナウイルス感染症が疑われる患者を診察看護若しくは介護していたもの
・ 新型コロナウイルス感染症が疑われるものの気道分泌液若しくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高いもの

 釜萢氏は上記イ、ウで示される「WHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域」について中国湖北省が該当と説明。

中国の湖北省以外の地域は該当しないのかとの問合せもあるが検査対象となる疑い例の定義としては、現時点では原則として同地域に限定されるとした。

 

「帰国者・接触者相談センター」で受け付け、「帰国者・接触者外来」で受診・検査

 また、厚生労働省は2月1日付の事務連絡2)で都道府県宛に「帰国者・接触者相談センター」ならびに「帰国者・接触者外来」の設置を指示。相談センターは当面主に保健所が担い、帰国者・接触者外来は主に感染症指定医療機関が担う。

ただし、今後検体が増加する可能性に備えて、標準予防策を講じられる医療機関については感染症指定医療機関に限らず医療機関の同意のうえ指定の可能性があるとした。

 一般医療機関においては、本来帰国者・接触者外来を受診すべき疑い例であることが判明した場合はまず相談センターへ連絡のうえ、センターで検体採取が必要と判断された場合に帰国者・接触者外来の受診という流れとなる。


中国からの報告と、国内で診察した医師の印象は乖離か

 中国からの報告では、2割強が重症例で、死亡率は2%台とされているがまず前提としてこれらの報告が感染者のうちの肺炎患者に限られている点を同氏は指摘。

一方、まだ数例ではあると前置きしたうえで、国内で症例を診察した医師の印象は中国からの報告から得られる印象とは乖離しているようだと話した。PCR法に代わる簡易検査法や治療薬(タイからの報告はまだエビデンスといえるレベルではない)の開発等にはまだ時間を要すると考えられ収束の見通しについても正確な見極めはこれからの段階であると強調した。

 

参考文献・参考サイトはこちら

1)感染症の予防及び感染症の患者に関する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について(一部改正)(202024日掲載)

2)新型コロナウイルス感染症に対応した医療体制について(各自治体宛て)(202023日掲載)

 

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