2020.04.16
新型コロナウィルス感染症では慢性閉そく性肺疾患や糖尿病患者では転帰不良 [薬学博士からのアドバイス]
脳科学的栄養学No.101
◇新型コロナウィルス感染症では慢性閉そく性肺疾患や糖尿病患者では転帰不良
これまで新型コロナウィルス感染症では持病を持つ高齢者での重症例が報告されてきましたが、中国・広州医科大学のWei-Jie Guan氏らは、新型コロナウイルス感染症患者の併存疾患を調査し、慢性閉そく性肺疾患*や糖尿病が重篤な有害転帰リスクとなる疾患であることを明らかにしています。
*従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称。
タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病といえる(一般財団法人日本呼吸器学会より引用)
調査は2019年12月11日~2020年1月31日の期間、中国本土の31省・市・区の病院、575施設に入院した患者1,590例のデータを分析。
重篤でICUへの入室、侵襲的換気、死亡に至る併発疾患を分析し評価。
患者の平均年齢は49歳、調査対象の1590例のうち女性は686例、症例のうち重篤に至った例は16%、また全症例の8.2%(131例)が死亡に至った。
また、399例(25.1%)の患者では1つの疾患を有していた。
さらに130例(8.2%)では2つ以上の併発疾患を有していた。
持病を持つ患者の内訳は、高血圧症が最も多く16.9%、ついで糖尿病で8.2%であった。
その結果死亡例に至る併発疾患では慢性閉そく性肺疾患が最も高く、ついで糖尿病、高血圧症、悪性腫瘍となった。
また、1つの併発疾患より2つ以上を有する患者で死亡リスクは高くなった。
これまで、新型コロンウィルス感染では併発疾患を有する高齢者の脂肪リスクが高いとされてきましたが、今回の調査から高齢者に限らず、併発疾患を有する患者では感染により転帰不良になるリスクが高いことが明かになりました。
高齢者は勿論のこと、年齢が若くても持病のある方は油断せず十分に注意が必要であるということですね。
外出自粛がまだ続きますが、お互いにまず自身が感染者にならないよう、責任と知恵ある行動をしてまいりましょう。
原著論文
The European respiratory journal. 2020 Mar 26; pii: 2000547.
「中国におけるCovid-19の1590人の患者に対する併存症とその影響:全国的な分析」
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