話して生じる飛沫は空中を8分間漂い、新型コロナウイルス  感染の火種となりうる [薬学博士からのアドバイス] | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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2020.10.08

話して生じる飛沫は空中を8分間漂い、新型コロナウイルス  感染の火種となりうる [薬学博士からのアドバイス]



科学的栄養学No.126

 

◇話して生じる飛沫は空中を8分間漂い、新型コロナウイルス
 感染の火種となりうる

 

はしか(麻疹)、インフルエンザウィルス、結核菌等の呼吸器ウイルスは咳やくしゃみで放たれた飛沫を介して感染を広げます。

 

飛沫のもとである口腔液に大量に新型コロナウイルスが存在することが発症患者 1のみならず無症状の患者 2でも確認されており、おそらく新型コロナウイルスも飛沫に収まって浮遊できると考えられます。

 

普通に話しても飛沫が生じることは、咳やくしゃみによる飛沫ほどは広く知られておらず、話したときに生じてしばらく浮遊しうる直径30μm未満の飛沫の意義はこれまで蚊帳の外に置かれていました。

 

しかし米国NIH支部の国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(NIDDK)の研究者らの試験結果によると、その認識は改める必要があるようです。

 

報告によれば、話したときに生じる飛沫は空中に8分間は浮遊し、新型コロナウイルス感染の火種になるおそれがあるといいます 3,4。 

 

研究者は被験者に“stay healthy(健康でいよう)”というフレーズを25秒間繰り返し言ってもらい、そのときに発生する飛沫の浮遊(30cm落下)時間半減期を測定しました。

 

その時間が8分間であり、話して生じた飛沫の直径はおよそ4 μm、口を出る前の乾燥前の粒子の直径は12μm以上と推定されました。

 

この結果によると、1分間大声で話せば、ウイルスを含有する少なくとも1,000粒の飛沫が8分を超えて空中に留まり、その量はそれらを吸い込んだ誰かに新型コロナウイルスを誘発しうるレベルだといいます。

 

今回の研究を実施した研究チームは、話しているときの飛沫を撮影した結果を報告しており 5、その試験では、布マスクをして話せば前方への飛沫の発散を抑えられることが示されています。

 

アメリカ疾病管理センター(CDC)も推奨するマスク着用が、新型コロナウイルスの広がりを遅らせうる大事な役割を担うことを、報告は示していると、NIDDK広報担当者は米国の新聞USA TODAY紙に話しています 6

 

マスクの効果に関するこれまでの試験を集めて検討した報告 7,8の著者の見解はさらに揺るぎなく、公共の場でのマスク着用は、皆が守れば新型コロナウイルスの広まりを確実に防ぐ(Public mask wearing is most effective at stopping spread of the virus when compliance is high)と結論しています。

 

マスクの効果に関するこれまでの試験を集めて検討した報告 7,8の著者の見解はさらに揺るぎなく、公共の場でのマスク着用は、皆が守れば新型コロナウイルスの広まりを確実に防ぐ(Public mask wearing is most effective at stopping spread of the virus when compliance is high)と結論しています。

 

参考文献

1Chan JF,et al. J Clin Microbiol. 2020 Apr 23;58.

2Wolfel R,et al. Nature. 2020 Apr 1. [Epub ahead of print]

3Droplets from Speech Can Float in Air for Eight Minutes: Study / TheScientist

4Stadnytskyi V,et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2020 May 13. [Epub ahead of print]

5Anfinrud P,et al. N Engl J Med. 2020 Apr 15. [Epub ahead of print]

6Simply talking in confined spaces may be enough to spread the coronavirus, researchers say / USAToday

7If 80% of Americans Wore Masks, COVID-19 Infections Would Plummet, New Study Says / VanityFair

8Face Masks Against COVID-19: An Evidence Review. Preprints. Version 2 : Received: 12 May 2020

 

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